イーロン・マスク、オーストラリアの子ども向けソーシャルメディア禁止法案を批判 – 中国や韓国、他国の事例と共に考える
テック業界の大富豪であるイーロン・マスクは、オーストラリア政府が提案した16歳未満の子どもに対するソーシャルメディア禁止法案を批判した。
彼は、この法案を「全てのオーストラリア人に対するインターネットアクセスを制御する裏口的な方法だ」と表現している。
イーロン・マスクは、ソーシャルメディアプラットフォーム「X」の所有者であり、今回のオーストラリアの法案に対して公然と反対の声を上げた。
この法案は、16歳未満の子どもが「X」や「Instagram」、「Facebook」、「TikTok」などのソーシャルメディアにアクセスするのを防ぐため、年齢確認システムを導入することを目指している。
これには、生体認証や政府が発行する身分証明書などが使用される可能性があり、企業がこれに違反した場合、最大5000万オーストラリアドル(約3250万米ドル)の罰金を科せられることになる。
マスクによる過去のオーストラリア政府への批判
今回の批判は、イーロン・マスクがオーストラリア政府に対して公然と意見を述べるのは初めてではない。2023年4月、オーストラリアの裁判所が「X」に対して、シドニーの司教が刃物で刺された事件に関連するグラフィックなコンテンツを削除するよう命じた際、マスクはオーストラリア政府を検閲だと非難した。その後、このケースは取り下げられたが、この件を巡ってマスクはオーストラリア政府との対立を深めた。
当時、オーストラリアのアルバニージ首相は、マスクを「法の上に立とうとする傲慢な大富豪」と呼んで反論した。
マスク、オーストラリア政府を「ファシスト」と呼ぶ
また、2023年9月には、マスクがオーストラリア政府を「ファシスト」と呼び、オンライン上の偽情報に対する取り締まり計画に対しても強く反対していた。オーストラリア政府の規制強化は、表現の自由や企業の運営に対する影響を懸念する声を呼んでおり、特にテクノロジー業界においては、その影響を注視する必要があるとされている。
オーストラリア政府のこのような取り組みは、社会に与える影響と、インターネット上での自由な情報交換とのバランスをどう取るかが今後の重要な課題となるだろう。
他国のソーシャルメディア制限の取り組み
他国でも、子どもたちに対してソーシャルメディアの制限を試みた事例はある。例えば、アメリカでは13歳未満の子どもからデータを収集する場合、保護者の同意を得ることが義務付けられている。しかし、オーストラリアの提案はこれを超えており、世界で最も高い年齢制限(16歳)を設定し、親の同意や既存のアカウントに対する免除を認めていない点が特徴である。
日本での事例:子ども向けインターネット規制と教育プログラム
日本でも、子ども向けのインターネット利用規制に関する取り組みが行われている。例えば、日本政府は「インターネット利用に関する安全対策」を推進しており、特に未成年者への教育プログラムが重視されている。
具体的には、青少年に対するネットリテラシー教育が小中学校で行われ、インターネットの安全な利用方法について指導が行われている。また、子ども向けのソーシャルメディアやゲームアプリの利用時間制限を設ける取り組みも進んでおり、親による監視機能の導入も促進されている。
日本の企業も、子ども向けコンテンツの提供において規制を強化しており、例えば、LINEやYouTubeなどのプラットフォームでは、13歳未満の利用者に対しては利用制限を設けるなどの対応が取られている。
中国での事例:子どものインターネット利用制限
中国では、子どものインターネット利用に対する規制が強化されている。特に、オンラインゲームやソーシャルメディアに関して、未成年者を保護するための規制が多く導入されている。例えば、中国政府は2021年に「未成年者のオンラインゲーム制限」を発表し、18歳未満の子どもに対して、週に3時間までのゲームプレイを許可するという制限を設けた。この取り組みの目的は、子どもたちの健康や学業への影響を減らすことだ。
さらに、中国ではソーシャルメディアの利用に関しても、親の同意を得ることや、ユーザーの実名登録を義務付けている。たとえば、中国の人気ソーシャルメディアプラットフォーム「WeChat」では、ユーザーが未成年者であることが確認されると、特定の機能の使用が制限される。このように、中国は未成年者のインターネット利用を監視し、制限する政策を強化している。
韓国での事例:未成年者のインターネット利用規制
韓国も、未成年者のインターネット利用に関する規制を厳格にしている。特にオンラインゲームに関する規制が注目されており、「シャットダウン制度(Shutdown Law)」が有名だ。この制度は、夜間の特定の時間帯に13歳未満の子どもがオンラインゲームをプレイできないようにするもので、深夜0時から6時までの時間帯にゲームへのアクセスが制限される。この法律は、子どもたちの健康や睡眠を守るために導入された。
また、韓国ではソーシャルメディアやインターネットサービスに関しても、未成年者のプライバシー保護や個人情報保護のための規制が強化されている。例えば、韓国の「青少年保護法」では、13歳未満の子どもが個人情報を提供する場合、親の同意を得ることが義務付けられている。また、未成年者がSNSでの過度な投稿を避けるように促す取り組みも行われており、教育機関や政府が積極的にネットリテラシー教育を進めている。
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